反政府暴動は年間数十万件、マグマの如き人民の不満、中国ビジネスに必要な“石橋を叩いて渡らぬ”用心深さ…天安門車炎上事件に思う
ウイグル族蹂躙の歴史
北京・天安門に車が突入、炎上した事件は、ツィッター時代のお蔭で、かなり世界中へ映像がばらまかれたようで、習近平政権への衝撃は直接・間接を含めて、かなり大きかったかと思われます。
一般的な報道では、車に乗っていたのは3人のウイグル族で、新疆ウイグル自治区で発生した暴力事件で直系の親族が当局者に射殺されたことへの“報復”ではないか-ということですが、実際は最低8人がかかわっていた、そして協力者を含めると相当数のウイグル族が関わっていたようです。
ご存知のように、シルクロードの歴史に繋がる新疆ウイグル地区は、中共が強制的に配下にした多くの自治区の中でも、極めて広大な面積を持ち、石炭をはじめ、天然資源の宝庫であるとされています。このため漢民族資本が人海戦術と財力でこの地を早くから蹂躙し続け、この地では暴動が絶えなかったようです。ウイグル族はイスラム教信徒であり、漢人の横暴は、男性の髭を剃らせたり、女性の頭巾を剥がしたりと宗教的冒涜も度を過ぎたものがあったようで、相当の恨み辛みが度重なる反政府暴動の裏に隠されてきたものといえます。
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このところ世界各地で色々な紛争、政変、外交劇が展開されております。今回は、中国など東アジアに絞って、その背景に迫ってみたいと思っています。なお、韓国や中国の目に余る反日キャンペーンや不可解な領土権の主張などに関しても、彼らの内政事情やその外交視座をともに観察した上で、判断すべきだと考えます。
「やるぞやるぞ」と脅しをかけながら…
まずは気になる北朝鮮動静です。「休戦協定破棄」「戦時状態突入」といった強硬姿勢を繰り返しながらも、なぜか具体的な破壊的アクションやミサイル発射実験は抑えているところが微妙です。北朝鮮が、南北共同事業だった「開城工業団地」から今春“撤退”したことは、かなりの経済メリットや諜報メリットを犠牲にしても、韓国との「断絶」をアピールしたかったようです(最近になって南北間で操業再開に向けての動きが出てきていますが、まだまだ紆余曲折が予想されます)。
開城工業団地は年間1億ドル近い外貨を稼ぐ重要拠点だったし、北の領空を通過する航空機の管制でも必要な情報を南と交換してきたチャネルであり、領空通過チャージも一機あたり数百ドル~千ドルも徴収して来たわけですから、そうしたメリットを切り捨てることには、何か政治経済的に隠された目的がありそうです。得意の瀬戸際外交で米朝交渉に活路を見出したい北朝鮮政権ですが、命運を握る後ろ盾の中国中枢で、何らかの地殻変動が起きているとも考えられます。